舞妓さんに
ついてのご紹介

300年以上の歴史をもつ京都の花街(かがい)で、
芸妓さんになるために修行をする「舞妓さん」。
艶のある日本髪を花簪(はなかんざし)で飾り、
美しい友禅の振袖にだらりの帯をしめて歩く華麗な姿は、
世界中の注目の的です。
ただ美しいだけでなく舞をはじめとする
数々の伝統芸能を身につけ、
国内外の多くのお客様をおもてなしするのが舞妓さんの役割。
祇園町(ぎおんまち)に暮らす多くの人々に支えられながら、
すばらしい日本文化を世界に発信しています。

舞妓さんの1日

祇園町の置屋(おきや)さんで暮らす舞妓さんたち。毎日たくさんのお稽古(けいこ)があり、
切磋琢磨しながらがんばっています。

起床・身支度
置屋のおかあさんの用事を手伝い、お稽古に行くための身支度をします。
お稽古
祇園町の八坂女紅場学園(やさかにょこうばがくえん)へ。舞や唄(うた)、三味線(しゃみせん)、華道、茶道などさまざまな伝統芸能のお稽古を受けます。

帰宅・休憩
お昼過ぎには置屋さんに帰り、しばし休憩。お稽古のおさらいをしたり、仮眠をとったり、読書をしたりと、自由に過ごします。
お化粧・着付け
お茶屋さんのお座敷に出るための準備をします。お化粧は、首筋のおしろいも含めてすべて自分で行っています。

お座敷
お茶屋さんのお座敷へ。毎日のお稽古の成果を、お客様に披露します。
帰宅・就寝
おかあさんやおねえさんのお手伝いをしてから、しばらくは自由時間。お夜食をいただくこともあります。明日のお稽古に備えて、就寝。

舞妓さんの1年

江戸時代からの伝統を大切に受け継ぐ祇園町。
四季折々にさまざまな行事があり、舞妓さんの華麗な姿が花を添えています。

1月 January

始業式〈7日〉
祇󠄀園町の芸妓さん・舞妓さんが、黒紋付(くろもんつき)を着て一堂に会します。
初寄り〈13日〉
お師匠さんのもとに芸妓さん・舞妓さんが勢揃いして、お正月を祝い1年間の精進を誓い合います。

2月 February

節分〈2日〉
八坂神社の節分祭で芸妓さん・舞妓さんが舞を奉納し、豆まきを行います。
節分お化け〈3日〉
節分の夜に、芸妓さんたちが仮装をしてお座敷を回ります。

3月 March

「都をどり」のお稽古開始
祇󠄀園町の芸妓さん・舞妓さんが総出演して舞を披露する「都をどり」は、京都の春の風物詩。祇󠄀園甲部歌舞練場を舞台に、1日3回の公演が4月いっぱい続きます。本番に向けてお囃子(はやし)や唄のお稽古は2月から、舞のお稽古は3月からスタート。

4月 April

都をどり〈1日〜30日〉

5月 May

お休み
ゴールデンウィークの頃には、都をどり明けのまとまったお休みがあります。

6月 June

都の賑(にぎ)わい〈第4土・日曜日〉
京都の5花街が合同で開催する、伝統芸能の特別公演。舞妓さんは各花街から4人ずつ舞台に上がります。

7月 July

祇園祭〈7月1日〜31日〉
日本三大祭のひとつである祇園祭。期間中は、八坂神社や京都の山鉾町等で毎日のように神事が行われます。祇󠄀園町の芸妓さん・舞妓さんは、16日の「宵宮神賑奉納」や24日の「花笠巡行」「花笠巡行奉納舞」に参加。

8月 August

八朔(はっさく)〈8月1日〉
お世話になった方にごあいさつをする日。芸妓さん・舞妓さんは黒紋付の正装で、お師匠さんやお茶屋さんなどのもとへごあいさつに回ります。
お盆休み

9月 September

「温習会(おんしゅうかい)」のお稽古開始
「温習」とは「おさらい」という意味。芸妓さん・舞妓さんが毎日のお稽古の成果を発表する舞台で、祇󠄀園町にのみ受け継がれている舞も披露されます。9月に入ると、本番に向けたお稽古がスタート。

10月 October

温習会〈1〜6日頃〉

12月 December

事始め〈13日〉
正月の準備を始める日。芸妓さん・舞妓さんはお師匠さんや見習い茶屋や同じ家のおねえさんにごあいさつに回ります。

舞妓さんになるまで

祇園町では、一人前の舞妓さんとしてデビューするまでに
「仕込みさん」「見習いさん」という1年以上の準備期間があります。

申し込み・見学

祇󠄀園町の舞妓さんになりたい場合は、芸妓さん・舞妓さんの教育機関である八坂女紅場学園までご連絡ください。
希望者は見学・体験も可能です。

置屋さんを決定

舞妓さんと舞妓さん志望者は、祇󠄀園町に数軒ある「置屋さん」という家で生活しています。履歴書の提出や置屋さんとの面談の結果、入る置屋さんが決まったら、置屋のおかあさんと相談のうえ、いつからお世話になるかを決めます。

仕込みさん(約1年)

置屋さんに入って最初の1年ほどは、「仕込みさん」として過ごします。置屋のおかあさんやおねえさん(先輩の舞妓さん)のお手伝いをしながら、さまざまなルールやマナーを学ぶ大切な期間。同時に、舞などのお稽古にも通います。

見習いさん(約1カ月)

舞のお師匠さんからお許しが出たら、仕込みさんの最後の1ヶ月は「見習いさん」となり、お茶屋さんのお座敷に上がる練習をはじめます。舞妓さんの格好はしていますが、帯や袂(たもと)は短く、口紅は下唇にだけ引きます。

一人前の舞妓さんに

舞妓さんとしての正式なデビューは「店出し」といい、正装である黒紋付の着物で厳粛な儀式が行われます。この日から、一人前の舞妓さんとしてのお勤めがスタート。約1年経つと、上唇にも紅を塗ることが許されます。

舞妓さんが暮らす街

󠄀祇園町ってどんなところ?

京都には舞妓さんの暮らす「花街」が5つあり、
「祇園甲部(ぎおんこうぶ)」もそのひとつ。
地元では「祇園町」と呼ばれ、親しまれています。
祇園町が花街として成立したのは、江戸時代(寛文5〈1665〉年〜享保10〈1732〉年)のこと。
茶店ではたらく女性たちが、食事だけでなく舞や音楽でもおもてなしをするようになったことが、
芸妓さん・舞妓さんのはじまりといわれています。
江戸時代に比べると現代社会はずいぶん変化していますが、
祇園町は今も数多くの伝統工芸・伝統芸能の担い手たちとともに、
貴重な文化を受け継いでいます。

舞妓さんの周りの人たち

舞妓さんはいわば、京都文化の粋を集めた生きる総合芸術。同時に娘のような存在として、
多くの人に育てられ、見守られています。

置屋さんのおかあさん

舞妓さんが暮らす家で、実の母親のようにお世話をしてくれる「おかあさん」。舞妓さん志望者(仕込みさん)を受け入れ、舞妓さんとしてデビューするまでのサポートもしてくれます。

お茶屋さんのおかあさん(女将さん)

「お茶屋さん」とは、芸妓さん・舞妓さんを呼べるお店のこと。芸妓さん・舞妓さんはお茶屋さんの女将のことも「おかあさん」と呼びます。若い舞妓さんたちが安心して仕事ができるように、いつも見守ってくれる存在です。

男衆(おとこし)さん

華やかな振袖にだらりの帯。祇󠄀園町を彩る舞妓さんの華麗な装いは、「男衆さん」という着付けの専門家によって形作られています。

髪結(かみゆい)さん

人それぞれ質や量の異なる髪を、伝統的な日本髪に結い上げる専門家。髪を結い直してもらうのは、舞妓さんにとってリラックスタイムでもあります。

呉服屋さん

舞妓さんの着物は京都の手描き友禅がほとんど。置屋のおかあさんから注文を受けた呉服屋さんが、華麗な着物を用意してくれます。こうしたお店には、おねえさんのおつかいで仕込みさんのときから訪れます。

かんざし屋さん

舞妓さんの花簪は毎月変わります。季節の花や風物を表現した繊細な細工は、すべて職人さんの手作り。

履物屋さん

舞妓さんを足元から美しく見せる履物の「おこぼ」。10cm以上の厚みがありますが、歩きやすいように職人さんが調整してくれます。

舞妓さんインタビュー

日本を代表するアイコンである舞妓さんですが、素顔はまだ年若い女性たち。祇園町のおねえさんたちに、
舞妓さんをめざしたきっかけややりがいを教えてもらいました。

舞妓さんをめざそうと思ったきっかけは?
歴史が好きで、将来は日本の伝統文化に関わる仕事がしたいと思っていました。そんなとき「都をどり」を観て、舞妓さんに憧れたのがきっかけです。
舞妓さんとしてやりがいを感じることは?
芸事を極められることと、女性としての礼儀作法をしっかり身につけられること。毎日とても充実しています。
舞妓さん志望の人へ、メッセージをお願いします。
しんどいこともありますが、素敵な世界です。ここでしか体験できないことがたくさんあるので、夢を持っている方はぜひ来てください!

舞妓1年目 Aさん

舞妓さんをめざそうと思ったきっかけは?
中学生のとき、家族旅行で京都に来ました。そのとき、花見小路でとてもきれいな芸妓さんをお見かけしたのがきっかけです。
舞妓さんをめざすなかで、大変だったことはありますか?
親元を離れて暮らすことです。仕込みさんのときはホームシックで毎晩泣いていましたが、置屋のおかあさんがいつも励ましてくださったのでがんばれました。
舞妓さん志望の人へ、メッセージをお願いします。
向いているかどうかはやってみないとわからないので、興味のある人はぜひチャレンジしてください。祇󠄀園町のために一緒にがんばれる仲間ができたらうれしいです。

舞妓1年目 Bさん

舞妓さんをめざそうと思ったきっかけは?
もともと着物を着るのが好きでした。地元にも花街があるのでそこの芸妓さんにお話を聞いてみたところ、歴史ある祇󠄀園町をおすすめされたのがきっかけです。
舞妓さんをめざすなかで、支えになったことは?
しんどいことは、同期と励まし合って乗り越えてきました。置屋のおねえさんにもよく悩みを聞いてもらっています。
舞妓さん志望の人へ、メッセージをお願いします。
本気で努力することも大切ですが、しんどいときや困ったときは周りの人に相談してください。それが、この仕事を楽しむコツだと思います。

舞妓2年目 Aさん

舞妓さんをめざそうと思ったきっかけは?
動画サイトで舞妓さんの舞を見たことがきっかけです。とても美しくて憧れました。
舞妓さんをめざすなかで、心配だったことはありますか?
祇󠄀園町に来るまで着物もほとんど着たことがありませんでしたし、舞も初めてだったので、とても不安でした。でもお稽古ではお師匠さんが丁寧に教えてくださるので、努力すればついていくことができました。
舞妓さん志望の人へ、メッセージをお願いします。
言われたこと、教えられたことを素直に聞くのは難しいこともあるかもしれませんが、いつか自分のためになります。私たちと一緒にがんばりましょう!

舞妓2年目 Bさん

Q&A

舞妓さんはどのようなことをするのでしょうか?
お座敷や舞台で舞を舞います。ほかにも長唄、三味線、茶道、華道、書道、笛、鳴物、能楽など、さまざまな伝統芸能を会得し、礼儀作法も身につけてお客様をおもてなしします。
舞妓さんになるのに、年齢制限はありますか?
中学校を卒業してすぐに仕込みさんになるのが一般的ですが、高校に入学したものの、夢を追いかけて舞妓さんになるという人もいます。また舞妓さんではなく芸妓さんですが、三味線や太鼓の演奏や唄を担当する地方(じかた)さんは、社会人からめざすことも可能です。
日本舞踊などの伝統芸能を習ったことがないのですが、舞妓さんをめざすことはできますか?
できます!毎日のお稽古で身につけられるので、まったく経験のない方もご安心ください。
仕込みさんになるのにお金はかかりますか?
かかりません。仕込みさんから置屋に住み込みとなりますが、その生活費の負担もありません。
舞妓さんとしてお仕事をしながら、高校卒業資格を取ることはできますか?
希望者は高卒認定試験を受験し、資格を取得することができます。
舞妓さんと芸妓さんの違いは?
「舞妓さん」というのは芸妓さんになるまでの見習い期間であり、置屋さんで暮らしています。華やかな振袖に「だらりの帯」を垂らし、結いあげた日本髪に花簪を飾った、可愛らしい姿が特徴です。その舞妓さんを20代前半で卒業すると、「芸妓さん」になります。自毛で結っていた髪はかつらになり、着物も振袖とだらりの帯を卒業して大人っぽいものに。ゆくゆくは置屋を出て独立し、舞を舞う「立方(たちかた)」もしくは楽器演奏や唄を担当する「地方」として、お座敷を中心におもてなしをします。
舞妓さんの生活やお仕事を見学することはできますか?

八坂女紅場学園までご連絡いただきましたら、下記のプロセスで見学・体験していただけます。

1.お申し込み

まずは八坂女紅場学園にメールまたはお電話にてご連絡を。次にお名前、ご連絡先、志望動機、お写真(お顔・全身)、履歴書をお送りいただきます。

2.面談

八坂女紅場学園で面談を行います。

3.置屋さんでの面談

八坂女紅場学園から置屋さんに連絡し、了承を得られたら置屋さんでも面談を受けていただきます。

4.体験・見学

おおよそ2泊3日で祇󠄀園町に滞在し、仕込みさんや舞妓さんの生活を見学・体験をしていただけます。

保護者が話を聞くことはできますか?
もちろんです。ご希望の方は八坂女紅場学園までお問い合わせください。
舞妓さんにお休みはありますか?そのとき、帰省することはできますか?
「公休日」というお休みがあります。お正月、ゴールデンウィーク、お盆などのまとまったお休みには、遠方まで帰省する舞妓さんも多くいます。
舞妓さんになるには、どこから申し込めばいいですか?
いつでも八坂女紅場学園まで、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。
舞妓さんに向いているのは、どんな人ですか?
毎日、真面目に取り組み続けられる方が向いています。最初のうちはたいへんなこともありますが、日本の伝統文化に接することのできる貴重な機会として捉えると、楽しみながら成長できると思います。
親元を離れて暮らすのが心配なのですが、困ったときは誰に相談したらいいですか?
置屋のおかあさんや先輩の舞妓さんをはじめ、相談できる人はたくさんいるのでご安心ください。八坂女紅場学園のスタッフも、いつでもご相談に応じています。

お問い合わせについて

まずはお電話もしくは下記のお問い合わせ
フォームよりお問い合わせください。

電話 075-561-1115(八坂女紅場学園)

[応募書類]

・履歴書
・写真(顔写真と全身写真)
・同意書(未成年のため保護者の同意書が必要です)

[送付先]

〒605-0074 京都市東山区祇園町南側570‐2
 八坂女紅場学園「舞妓募集」係

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